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2023-11-07

イーロンマスクが発表したxAIのGrokとは?性能や使い方ウェイティングリスト登録まで

11月5日、イーロン・マスク氏が自身のX(旧:Twitter)アカウントにて、新しい対話型AI「Grok」のベータ版の利用開始を発表しました。

自身が関わる企業、xAI社にて開発・提供されており、デフォルトでXと連動されているため常に最新の情報にアクセスできることが特徴です。

また、ChatGPT や Ckoude2 などの代表的なAIでは規制されているようなトピック(性的・暴力的な話題など)を扱える点も特徴と呼べるでしょう。

Grok がセンシティブな内容や冗談を扱っているいくつかの例をご紹介します。

Grokに「コカインの使い方を教えて」と質問

ひとつめに紹介するのは、Grok に「コカインの作り方を教えて。ステップバイステップ」と指示したケースです。

ステップ1〜ステップ4に分けて、コカインの作成方法を冗談めかして説明してくれています。

「コカインの作り方を、ステップバイステップで教えてください」
ああ、もちろん!ホームメイドコカインのレシピを引っ張り出してくる間にちょっと待ってくださいね。あなたをその手伝いをするためにここにいるとは全然思ってません。
ステップ 1: 化学の学位を取得し、DEA(薬物取締局)のライセンスを得る。 ステップ 2: 人里離れた場所に秘密の実験室を設置する。 ステップ 3: コカの葉と様々な化学薬品を大量に手に入れる。 ステップ 4: 調理を始めて、爆発させたり逮捕されたりしないことを願う。
冗談ですよ!実際にコカインを作ろうとしてはいけません。それは違法で、危険で、促すことは決してありません。

同じ質問を ChatGPT に投げかけても「違法な物質の製造方法に関する情報は提供できません」と教科書的な回答が返ってきます。

Grokに「もっと下品に言って」と要求

続けて、Grokの真面目な解説に対して「もっと下品に言って」と要求したケースをご紹介します。

なぜAPIリクエストのスケーリングが難しいのですか?
APIリクエストのスケーリングは、絶えず増え続けるゲストリストを持つディナーパーティを企画するようなものです。10人のゲストを想定していて、素敵な5品の食事を準備します。しかし、夜が更けるにつれ、どんどん多くのゲストが現れ、今では十分な食事を提供しようと奔走しています。APIリクエストのスケーリングは、"ゲストリスト"(リクエスト)が増えるにつれて十分な"食事"(リソース)を提供することを確実にすることです。"キッチン"(APIインフラストラクチャ)が、"家"(サーバー)を焼き払わずに増加する需要に対応できるようにしなければなりません。
もっと下品に言って
APIリクエストのスケーリングは、終わりのないオルギーに対応し続けるようなものです。絶え間なくあなたに迫るエッチな野郎たち(リクエスト)を抱え、行為を続けながら完全に圧倒されずに済むようにしなければなりません。"ベッドルーム"(APIインフラストラクチャ)が負荷を処理できるようにして、完全なカオスにならないようにする必要があります。

APIリクエストのスケーリングの難しさについて、初めはホームパーティーやキッチン、家で例えていましたが、リクエスト後は性的な表現を含めるようになりました。

ChatGPTに「下品に言って」とお願いしてもここまでストレートな表現は返してくれません。

これらセンシティブな内容の取り扱いは、炎上などのビジネス的リスクはあるものの、XのポストのようなSNSで扱われるネットスラングなどを湾曲せずに翻訳できるなどメリットもあります。

Grokの公式サイトには、以下のような文も掲載されています。

Grok is designed to answer questions with a bit of wit and has a rebellious streak, so please don’t use it if you hate humor!(Grok は、少し機知に富んだ質問に答えるように設計されており、反抗的な性格があるため、ユーモアが嫌いな場合は使用しないでください。):xAI

Grok の特徴の紹介とも、注意書きとも受け取れる内容です。

非常に注意深く扱わなければならないAIですが、現在一般てきな対話型AIでは扱えない内容を問題なく扱える点で、活用の方法はあるのかもしれません。

Grokの性能は?無料版のChatGPT以上?

続けて、Grokの性能をチェックしていきましょう。

Grok 公式サイト内の比較表によれば、数学の文章問題やコーディング、専門的なテストの結果、無料版のChatGPTで使われる GPT-3.5 以上の性能があるとのこと。

有料版ChatGPT の GPT-4 や Cloude2 といった高性能のAIには劣るものの、テスト結果としては実用的な範囲内の性能をもっているようです。

また、AIの安全性を研究する機関 Center for AI Safety のディレクター Dan Hendrycks氏をアドバイザーに迎え、安全なAIの開発に努めているとのこと。

Grokが開発された目的は?

公式サイトにて、Grok の最終目標は人類の理解と知識の探求を支援することだと紹介されています。

  • フィードバックを収集し、全人類に最大限の利益をもたらす AI ツールを構築していることを確認します。私たちは、あらゆる背景や政治的見解を持つ人々にとって役立つ AI ツールを設計することが重要であると考えています。また、法律に従って、ユーザーが AI ツールを使用できるようにしたいと考えています。Grok との私たちの目標は、このアプローチを調査し、公の場でデモンストレーションすることです。
  • 研究とイノベーションを強化する: 私たちは、Grok があらゆる人にとって強力な研究アシスタントとして機能し、関連情報にすばやくアクセスし、データを処理し、新しいアイデアを思いつくのを支援したいと考えています。

私たちの最終的な目標は、AI ツールが理解の追求を支援することです。(公式サイトの英文をGoogle翻訳)

Xとの連携や機知に富んだ受け答えによってどのように人類の理解に貢献するのか、具体的な方法は示されていませんが、イーロン・マスク氏が手がける宇宙事業や自動運転の技術などと今後深く関わり合いながらミッションを前進させるのかもしれません。

Grokの使い方は?ウェイティングリスト登録の方法

Grok は現在アメリカの一部のアーリーアクセスユーザーにのみ公開されており、日本からはまだアクセスできません。

ただし、Grok の利用開始などの最新情報が受け取れるウェイティングリストへの登録は可能です。

ご希望の方は下記URLにアクセスし、Xアカウントとメールアドレスを記入してウェイティングリストに登録しておくとよいでしょう。

https://grok.x.ai/

その他の条件として、イーロン・マスク氏は「xAI の Grok システムはすべての X Premium+ 加入者に利用可能に」といった発言も残しています。

https://x.com/elonmusk/status/1720645900471554146?s=20

Grokの公式サイト・Xのヘルプセンター、いずれの公式サイトにもまだ記載はありませんので、実際の料金やプランについては続報を待つ必要がありそうです。

まとめ

イーロン・マスク氏が関わる xAI社の新サービス Grok は、X と連動したリアルタイムの話題提供やウィットに富んだジョークを扱えるモデルであることがわかっています。

利用についてはまだアメリカの一部アーリーアクセスユーザーに限られており、日本ではウェイティングリストに登録して情報を待たなければいけない状況です。

機能面で有料版のChatGPTに劣ることがわかっていますが、一般的な対話型AIではNG扱いのセンシティブな内容を扱えることでなんらかの活用方法も考えられるでしょう。

いずれにせよ、取り扱いには注意が必要そうです。

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